これは『月刊KONMA08』の過去記事をカテゴリー別に分け記事を加筆・再編集したものです。
旅人物語 第六話
前回までのアラ?あらすじ?
北海道旅立ちの前日まで遊びほうけていた私。
もう二度と会うこともないかも知れないから「困った時に読め」と私に茶封筒を渡した父。
そして旅立ちの朝を迎える...
1989年8月7日
旅立ちの朝。
雲一つない晴天…
全財産13000円を握りしめサンダルに普通の旅行鞄...中身はTシャツとパンツを5枚づつと友達にもらった寝袋とおよそ旅人とは程遠い格好で家を出た。
今ならTシャツとパンツは2枚と水筒。身軽な格好で行くだろう。
当時は旅人の知識などなくホンマ何も考えていなかったのが分かる。
朝早く始発に間に合うように家を出る前に母が
「持っていき。具はないから」
と握ってくれたおにぎりを20個渡された。
私よりも先に起きて握ってくれていたのだろう。
当時は素直になれなかったが今思えばなんとありがたかったことか。
まずは大阪駅に着き「青春の18キップ」を11000円で購入。
このキップは今もあるのか知りませんが1枚でJRの快速電車なら乗り放題の途中下車もできての5枚つづりのお得なキップ。
時刻表も地図も何もない私は勘を頼りに東へ北へと向かう電車に乗った。
駅に着いては売店の時刻表を立ち読みして時刻と行き先を覚える。
車中母のにぎったおにぎりを噛みしめながら…
そして新潟県は柏崎という駅まで着いた。
ホームの待合室は割と広く『ここならゆっくりと寝れそう』と思った。ら…
駅員さんが来て『ここは閉めますので出てくださぁ~い』と。
『え?うそやぁん。そんなんどないしよう…』
と思いながら近隣マップを見ながら公園を探していたら同じように寝袋片手に寝所を探していた青年がいた。
私『あ、寝る所捜してるんですか?』
O氏『はい。そうです』
私『まさか駅を追い出されるとはねぇ。ここに公園ありますけど一緒にどうですか?』
O氏『いいですね。一緒に行きましょう』
と言う訳で駅のそばにある公園にO氏と一夜明かすこととなりました。
彼は九州に帰る途中だったらしく時刻表を持っていたので北海道までの道のりをメモさせてもらいオマケに荷物になるからとライターと固形燃料と金網をくれました。
お礼に余っていたおにぎりを渡しました。
今はもうO氏の顔は忘れましたがこの固形燃料と金網のおかげで後々に安く暖かいご飯を食べれるのであります。
そして夜が明けO氏と別れを告げました。
…つづく
あの山猫さんが綴るお子さんとの思い出の旅…
わぁお。山猫さんも『青春の18きっぷ』で旅されてたんですね。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
この続きは7月31日(火)更新予定のVol.09で。